そして 山に捨てられる★2

ども★ よしみです。

前回のブログの続きです。

林道をバックしていく母の車のヘッドライトが 闇に消えたのを見ていたあたしは、

追いかける事なんて まったく 考えてなかった。

車から降りた時点で、引きとめられなかった時点で、

<本気だ・・この人・・> って 思い込んでいたから。

<本気で捨てようと決意したんだ・・・って。> って 思い込んでいたから。

自分の中で、なんとかなるだろうな・・っていう コドモながらの甘えは通用しない、って感じてた。

同時に、自分の感情は孤独に凍りついた感覚になった。

この人の心は冷酷なモノになってる・・アタシに対して。 そう思っていた。

今思えば、捨てられた、って事実に、 <愛がもう、ない>って 思ったんだろうな。

同時に、感情も極端に <恐怖>へとベクトルは降りきっちゃったのだと思う。

で、あたしが暗闇の中、1人立ちつくし、思ったコト。

「もしも、もう一度母が戻ってきたら、・・殺されるかもしれない!!」

・・だった。

 

<どう?言うコト聞く?>なんてもう一度戻ってきて聞かれた時に、

それでもアタシの中で揺るがなかったのは、

<絶対に服従するのはイヤだ!>だったから。

 

大げさな!!って 思うかもしれないけど、思ったのだ。

母からは、なんとしてでも言う事を聞かせよう!っていう 支配的な強さを感じてた。

そこに抗ったら、どうなるの?っていう、中2のあたしの思い込み。

ま、この時のあたしの頭の中でのおしゃべりは時間にしたら、1~2分だったろうな。

 

で、あたしがした行動。

 

母が戻った道しか進む道がなかったから、 息をひそめて林道を降りた、だった。

少しでも、林道の向こうに車のライトがよぎろうもんなら、

木に隠れて、戻ってくるかもしれない母に、見つからないように隠れた。

 

そうこうして、広めの道に出た。

夏の夜。

足元ビーサン。

山道を下って降りた。

段々と怖くて駆け足になった。

坂道だから、走り出したら、 止まらなくなって、何度か転んだ。

でも、全く 泣いたりしない。

なんか、心は凍りついてる感じ。

母の車は白だったから、白い車が見えると隠れながら。

 

で、何台もの、赤城山頂上に向かう車も、降りる車も横を通り過ぎて。

頭の中で、その当時中学生の間でよく言われていた

<赤城山には関西から、女の子を連れ去って身売りしちゃう車が良く来てるらしいよ>

という 都市伝説みたいなのもよぎった。

 

夜道を軽装でビーサンで走るあたしがライトに照らされるたびに、

運転手の人がギョッとするのは、感覚で分かる。

スピードを緩める車が怖くて、

でも、坂道であたしが走るスピードは止まんないし・・。

 

ただひたすら走ってしばらくした頃、

1台の車が通り過ぎ、 おもむろにUターンして あたしの横に停まった。

無視してそのまま顔を真直ぐ前に向けたまま、走り続けたけど。

 

その車の助手席の窓が開いて、中から声をかけられた。

 

「ねぇ、どうしたの?」

 

女の人だった。

やさしい声だった。

その声の方を向いた。 雰囲気の良さそうな女の人が心配そうにあたしを見た。

隣には、まじめそうな男の人が、心配そうにあたしを見てて、

その人と目が合って

<この2人は安心だ・・>

なんか そう思った。

 

そしたら自分でも驚いたけど

「・・助けて下さい・・」

・・って 口走っていた。

ドッと何かが緩んでしまって、道端でワンワン泣いてしまった。

 

カップルの二人は、あたしを後部座席に乗せてくれて、

事情を聞いて、で、「この後、どこまで行けばいい?」と。

あたしは 悩んで、駅まで、と。

カップルは言った通りに、駅まで山を降りて乗せて行ってくれた。

ちなみに、Uターンして戻ってきたのは、幽霊だと思ったかららしい。

一緒には笑えなかったけど。

 

★☆★☆

 

で、長くなったので、続く。

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